独り言 のち 時々猫

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須賀敦子「コルシア書店の仲間たち」

コルシア書店の仲間たち

ミラノのコルシア・デイ・セルヴィ書店に関わる人たちを、
たんたんと描いたエッセイです。

さらりとした文体なのに、何故か最初のとっつきが悪く、
知らない人を暖かく迎え入れるというよりは、
冷たく突き放されているような気がしました。

別れ、情熱、疎外、孤独などを、感情移入して描くのではなく、
事実として一歩引いて、まるで風景画のように描いています。

そして、最後は一連の絵画を見終えて、
やっと全体象が朧げにわかったような、心細いような、
そんな余韻が残りました。

イタリアの歴史や、思想などに知識があれば、
もっと楽しめたのかも知れません。

今までに出会ったことのない読書感を味わえる本です。
是非、再読したいと思いました。
その時には、何か違うものが見えてきそうです。

☆二つ


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「出会いなおし」森絵都

出会いなおし

「出会いなおし」って素敵な言葉ですよね。
「再会」でなく、「生まれ変わり」でなく、「やり直し」ではなく、「出会いなおし」
この言葉が、本を読む前から心にポッと灯りをつけてくれました。

私の場合、一番に心をよぎったのは、
かまってかまって君と、もう一度出会いなおしたい、
という気持ちでした。
どんな形でも良いから、出会いなおせたら、幸せです。

さてさて、
この本には6つの短編が納められていて、
それぞれの出会いなおしが、救いや希望や前向きな気持ちを、
呼び覚まします。

小さな暖かい灯りが心に点りました。

☆二つ半


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村上春樹「遠い太鼓」

遠い太鼓

私にとって、初めて読破できた村上春樹です。
で、やっぱり、私には、春樹アレルギーがあるのかなと思いました(笑)
どうしても、自分の中のイマジネーションが膨らまないのです。

3年間に亘るご自身の海外滞在記なのですが、
シーズンオフのリゾートや、日の当たらない家、
雨の多い旅行、不都合な都会生活。
どうして、こんな安らげない外国暮らしを続けるのか不思議でした。

遠い太鼓の音に誘われて、日本を離れ、
三年間も海外で、不自由に過ごさなければならなかった理由は何なんだろう。
読みながら、何度も頭をかすめた疑問です。

そして、時間をかけてゆっくりとたどり着いた最後の最後。
答えが用意してありました。

「旅行というのはだいたいにおいて疲れるものです。
でも疲れることによって初めて身につく知識もあるのです。
くたびれることによって初めて得ることのできる喜びもあるのです。」

はい、私も春樹さんの旅に付き合って、ずいぶん疲れましたよ(笑)
でも、絶対にガイドブックには書かれていない裏事情を知りました。
くたびれ果てて、読破できたという喜びもあったのかもしれません。
私も、旅をしていたのかしら。

この本を紹介してくれたMちゃん、
やっぱり私には、春樹ワールドは遠すぎました。

☆一つ半


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宮下奈都「羊と鋼の森」

 羊と鋼の森


子供の頃にピアノを習っていました。
もちろん、練習は大嫌いだったし、
先生には叱られっぱなしでした。

レッスンの日になると「お腹痛い~」とか、「頭痛い~」とか、
仮病を使って休もうとするのですが、
母に「あほか! さっきまで笑とったやないか!」と一喝されて、
即、却下されました。

今思えば、創意工夫の足りない仮病です。
もう少し、うまくやれんかったんか、と後悔します。
(そんなことを後悔している場合か?)
(ピアノの練習を真面目にやらなかったことを後悔しろよ?)

そんなこんなで、決して、熱心に弾かれることのなかった
悲しい我が家のピアノですが、
年に一回、真面目そうなおっちゃんがやって来て、
がっちり調律してくれていました。

ド ド~ ドドド ド~
ドレドレドレドレド~

何時間かかけて、繰り返し繰り返し、
響きや音程を調整してくれます。
しかし、子供心には、単調な音を聞いているのは退屈でした。
「そんな、真面目に調律しても、
弾く鍵盤を間違えるねんから、音がずれてても一緒やん」
てなもんです。

そして、この本を読んで、少なからずショックを受けました。
調律士が、こんなに感性と技量を問われる職業だったとは!
ただの退屈で真面目なおっちゃんでは、務まらんがな!

知っているようで知らない世界は、一つ解き明かされました。

☆二つ



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森沢明夫「大事なことほど小声でささやく」

大事なことほど小声でささやく


そうそう、小声でささやくから、
「え? 今、なんて言った?」って、聞き耳をたてるのよね。
選挙の時の演説も、小声で言ってみれば?
もっと、皆、真剣に聞いてくれるんじゃないの?
あと、駅のアナウンスね。
ガーガーがなるより、え?聞こえませんが?
ぐらいの方が注意を引きますよ。

それは、さておき、お話の内容は・・・

スポーツジムで筋トレに励む仲間達が、それぞれ主人公になります。
家族との関係に悩む人。
仕事の手が抜けずに悩む人。
娘を亡くし立ち直れずに悩む人。
ジムで見せる顔と違う、それぞれの人生が描かれます。

そして、本当は、自分が一番悩みを抱えているのに、
仲間達を暖かく見守り、絶妙なアドバイスをするのが、
権田鉄男、こと、おかまのゴンママ。

彼?彼女?が、人生で大切なことを、
ささやいてくれます。
「そうよ、そうよ、そうなのよ~」とうなずけます。

誰も聞いていないと思いますが、
私も、ちょっと小さな声でささやいてみますね。

私、筋トレは嫌いだけど、おかまバーは好きです。
うふ。



☆二つ


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