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独り言 のち 時々猫

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角田光代「対岸の彼女」

結婚し、子供を産み、人づきあいが上手くない小夜子。
独身で、会社を興し、バイタリティーにあふれる葵。

二人の対照的な女が、出会い、揺れ、依存しない関係を築いてゆく。

小夜子は、娘のこと、家族付き合いのことなど、
周りの人間関係に疲れ、悩む、主婦。
何とか外へ出て、自分を変えるために働こうとして、葵と出会う。
快活で、頼もしい葵といることで、学生時代に戻ったような楽しさと、
葵となら、どんなことでも出来そうな昂揚感を味わう。

ところが、そんな葵にも、思いもよらない学生時代がある。
それが原因で、深く人と付き合うことが出来ず、
信じ切ることも、頼り切ることも、しない。

葵は、少女時代の多感な頃の経験が、自分の生き方に大きな影響を与えることを。
小夜子は、そうやって、大人になってからでも、自分を変えることが出来ることを、
教えてくれているような気がする。

二人は、川の向こう側とこちら側を歩いている。
進む速度や、立ち止まるタイミングは、違うかも知れないけど、
同じ風景を見て、同じ方向に、進んでいる。

人と人の関係は、そういうもので良いような気がする。
女子学生が、休み時間に手をつないで、一緒にトイレに行くような、
ベッタリとお互いに依存した友情は、もう、要らない。

対岸の彼女


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