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独り言 のち 時々猫

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朝井リョウ「スペードの3」

スペードの3
ハートの2
ダイヤのエース

各章のタイトルは、トランプの大富豪ゲームになぞられています。
このお話に出てくるルールでは、
スペードの3だけが、ジョーカーに勝てるようです。
でも、ジョーカーを刺すことが出来ても、所詮は弱いカード。
使い時を間違えると、ゲームに勝つことは出来ません。

2は、ジョーカーさえなければ、最強のカードです。
他のゲームであれば一番ヘナチョコなカードが、
このゲームでは勝敗の行方を握っています。

エース。
数は一番小さいのに、キングより強い。
それなのに、ジョーカーにも2にも勝てないところが悲しいカード。

女子は、小さい頃から自分のコンプレックスを
隠し、逸らし、偽り、克服して生きてゆきます。
きっと男子より、コンプレックスと真剣に向き合って生きているような気がします。
それが高じて、色んな屈折を生み出すことがあります。

それぞれのカードに象徴される女性の、
優越感、嫉妬、挫折、妬みを、これでもかーーー、と見せつけられて、
ちょっと息が出来ませんでした。

こんな心の奥深いところにある、どうしようもない葛藤を、
男性作家が表現するとは・・・

あな、おそろしや。

☆二つです。

スペードの3


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