雨宮まみ「東京を生きる」

仕事で東京寮生活が始まった頃、
東京生まれ、東京育ちのお嬢様である同期に、
「どんなに頑張っても、しょせんカッペじゃん」
と陰で言われていたことを知りました。
まぁ、その通りなので、その時は、
さほど腹が立ちませんでした。
どちらかと言うと、加山雄三の
「いつまでも、君を放さないよ。いいだろ?」
という歌詞に、猛烈な恥ずかしさを感じる人種でしたので、
東京のおぼっちゃまとおじょうちゃまの会話に、
ついて行くのがしんどかったのです。
「見上げてごらん。
ほら、星がすごくきれいだよ。」
(Kボーイ)
「なに、こっ恥ずかしいこと言うてんの?」
(しょせんカッペの心の声)
「あら、本当だわ。
私の上に降ってきそうだわ。」
(S女のお嬢様)
「降ってきたら、死ぬで。」
(しょせんカッペの心の声)
===ここまでは、回想===
そんな私が、人生の半分以上を
東京都民として過ごしております。
あの頃に味わったような疎外感と執着を、
巧みな表現で読ませてもらいました。
この感性、かなり好きかも知れません。
☆二つ半
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