武田百合子「ことばの食卓」
何だろう、不思議な読後感です。
すごーく懐かしいのに、斬新な感覚。
ニヤッと笑えるのに、ゾクッと怖くなる。
相反する印象の中で、読み手はどんどんページをめくってしまうけど、
作者は日常の一コマを切り取って、せっせと描写しているだけ。
ビックリしたのは、お話しの終わり方です。
「え?終わる?」みたいなチョンギレ感が、あちらこちらに。
ちょっと意表をつかれました。
生ぬるい「牛乳」がこぼれて乾いた時の匂い。
薄く切った「枇杷」が、するりと歯のない口に滑り込んでゆく時の音。
「お弁当」を食べ終えて、梅干しの種がお弁当箱の中を転がる学校の帰り道。
引用したい文章がいっぱいあるのですが、
著作権とやらに引っかかりそうなので、諦めます。
食べ物に関するエッセイ集ですが、かなり不思議ワールドです。
好き嫌いの分かれるところかも。
敢えて私は ☆二つ半。
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