小川洋子「人質の朗読会」

冒頭で、何故、人質が朗読会をしたのかわかりますが、
そのことを考えながら読むと、
どのお話しも、心に沁みてきます。
特別なエピソードではなく、日常の一部を切り取った題材です。
でも、とても丁寧に心の動きがわかります。
そして、タイトルを読んだ時に想像する世界を、
上手に裏切ってくれます。
更に上手いな~と思ったのは、
最後に、語り手の、職業・年齢などが記されていることです。
読み終えた後に、再度、
この朗読をした人質の人生に、
静かに思いを馳せるきっかけとなります。
しみじみしたい人にはお薦めです。
☆二つ半
| 本箱 | comments(-) | trackbacks:0 | TOP | HOME