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独り言 のち 時々猫

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坂木司「切れない糸」

昔はどんな田舎にもあった商店街。
八百屋、肉屋、魚屋、果物屋、金物屋・・・
主人公のカズ君とその友達沢田が住むところも商店街である。

沢田が商店街を総じて言う。
「重くって湿っぽくって、鬱陶しい。
その重さがさ、地面とつながってる感じでいいんだよ。」
まさしく、昔は皆そういう狭い地域の中で住んでいた。
個人情報保護も何もない。
カズ君も、最初はそれに息がつまるような思いでいた。

それが父親の急逝で、クリーニング屋をつぐ事になってから、
どんどん自分から鬱陶しい世界に足を突っ込む。
その感覚が「地面とつながっている」と思えるのだろう。

煩わしい人間社会が、少しだけ魅力的に見える。
人と人の繋がりが希薄な東京にあって、そういう世界も良いかも、と思わせる、
そんな作品だった。

切れない糸






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